ハンガリーの医科大学で産婦人科医を目指して勉強に励むRIRIKA、新しい命を目の当たりにする彼女、大人と子供の中間地点にいる彼女が日本の親権制度に何を思っているのか。思いを綴ってくれました。

自己紹介をお願いできますか?

ハンガリーに住む日本人医大生 | RIRIKAさん

初めまして。私はハンガリーの医科大学に通っているRIRIKAと申します。海外の医科大学で産婦人科の勉強をしており、毎日親子の絆の素晴らしさに触れ合う中、自分の生まれ故郷である日本で起きている離婚親子の問題について強い興味関心を抱き、PCBで活動しています。両親の愛情を沢山受けて幸せになるはずの子供達が離婚によって親と会えなくなるのは深刻な問題であり、一日でも早くこの問題が克服されることを願って活動しています。

ハンガリーの首都ブダペストにある国会議事堂。人気の観光地でもある。

日本の離婚後親子の現状についてどう思いますか?

私は改めてこの問題の全容を勉強したいと思い、今年春に国会で議論された「共同親権」法案に関する答弁を読んでみました。親権と監護権の違い、共同養育計画や親教育講座、連れ去り問題、様々な事情が複雑に関係している問題であることが分かりました。特に印象に残ったのは、現在日本で離婚後の親子交流が行われているのが約3割で、同じく養育費が支払われているのも3割であるという事実です。離婚は親の事情であって、子供に責任がないはずのものですが、そうした親の事情で7割もの子供達が親と会う権利を失くしてしまうのは、子供観点からするととても理不尽なことではないかと感じました。子供達が成長する過程で両親の愛情を受けられないことはとても大きな問題です。日本の親子問題の現状は私が思っていたよりもっと深刻だったのだなと感じました。

ブダペストに流れるドナウ川とクルーズ船

海外経験を多く持つRIRIKAさんの目には特に深刻に写ったのではないですか?

はい。私は海外の文化に幼少期の頃から触れてきました。アメリカでは離婚した親が一日でも多く子供に会えるように親同士の間で交渉が行われるのが当然であり、それが親としての義務であるとも考えられています。当然、日本も同じだと思っていましたが、日本で親権を失った親はそれを交渉する権利さえなかったということを知り、大変ショックを受けました。また、子供が同居親の意思とは別に別居親と会いたいと考えた時に、それを何とかしてあげる社会や組織の仕組みもないのが現状で、そうした制度は果たして本当に子供の為のものであるのか、強い疑念を抱いたところでした。私は現在海外留学により親元を離れて暮らし、テレビ通話やメールなどで親といつでもコンタクトができますが、それでも寂しさを感じることがあります。大学生の私ですらそう感じるのに、親が離婚した瞬間、片方の親との連絡が一切取れなくなる幼い子供達の寂しさや心細さがどれほどのものか、その気持ちを思うととても悲しくなってしまいます。私は、今回の国会答弁を呼んで、これまで当たり前だと思っていた親子の絆の尊さに改めて気づかされる一方、今日のこの瞬間でも、親に会いたいのに会えない寂しさを抱えている子供達の為、一日でも早く、全ての子供達が親と会える社会を実現させることがとても重要なことであると感じました。

ブダペストのカトリック教会「聖イシュトヴァーン大聖堂」

親子の絆を守り抜く社会に向けて、今後何が必要であると感じましたか?

このような現状に対し、多くの国会議員様が述べていた解決策の一つとして、「共同養育に関する親教育と広報」、特に、「養育計画講座の重要性」がありました。私が留学している先のハンガリーは当然のこと、数多くの国において、両親は離婚する際に親教育講座の受講や共同養育計画書の策定が義務付けられています。離婚は家庭により様々な事情が関連し、離婚後の夫婦というものは話し合うこと自体が困難な関係かもしれませんが、親である以上は「子供の利益」が最優先だと思います。そして、それを守るためには、共同親権の実現が不可欠であり、また、親教育講座の受講や離婚時に共同養育計画書の策定を呼びかけ、可能であれば、それを親の義務として浸透させていくことが必要だと思います。「離婚後夫婦でも子供の為に協力しなければいけない場面がある」という認識は、今回の国会審議でも協議された部分であり、その為にも、「父母相互の人格尊重義務・協力義務」が重要であると考えます。

ドナウ川に架かる「サバッチャーグ橋」。サバッチャーグは「自由」という意味。

その他で国会答弁で気になった点などはありましたか?

はい。共同養育計画について、「アメリカでは共同親権制度ができて共同養育計画書が出来上がるまで10年かかった。日本でも同様に時間がかかると思います。」といった趣旨の答弁がありましたが、既に海外諸国でそうした制度は確立しており、それが社会に認められて普及している中、同様のものを導入するだけなのに同じ10年をかけるのはおかしいのではないかと感じました。子供達の成長は日に日に進むものであり、大人達の都合を待ってくれるものではありません。一日でも早く、海外諸国の好事例を勉強し、日本に導入し、その為に、PCBのような組織で私も一緒に頑張りたいと考えています。親世代の皆様には様々な事情があるかと思いますが、離婚の最大の被害者は子供であって、今まさに、子供達を中心に考える社会制度が求められているように感じています。本法案の可決を機に、社会全体がこの問題に注目してくれるようになってほしいと思います。

RIRIKAさん、ありがとうございます。日本が諸外国に早く追いつけるよう、一緒に後押ししていきましょう。これからもよろしくお願いします。

はい。よろしくお願いします。

最後に

NPO法人親子の絆forJAPANでは、高校生から主婦の方まで様々な方がボランティアスタッフとして活動してくださっています。一緒に活動してくださる仲間を求めています。少しでも検討してみようかなというお気持ちをいただけましたら幸いです。

お気軽に問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。